交通事故知識

自賠責保険や補償内容について

交通事故の知識

自賠責保険と自動車保険

自動車の保険には、自賠責保険自動車保険の2種類があり、加入義務や補償範囲などに大きな違いがあります。

自賠責保険 (強制保険)

  • 正式名称は、自動車損害賠償責任保険
  • 自動車、バイクを公道で運転する際に必ず加入しなければならない
  • 被害者の怪我の治療費や死亡、後遺障害など対人賠償にあてられる
  • 加害者の救済、対物の賠償は対象外

自動車保険 (任意保険)

  • 自賠責保険で賄いきれない賠償等を補償する保険
  • 補償内容や保険料などは保険会社やプランにより異なる
  • 加入は任意ですが、その重要性から約7割の方が加入

自賠責保険による補償内容

傷害分として、治療関係費、文書料、休業損害および慰謝料が120万円を限度に支払われます。

治療関係費

1. 治療費

交通事故で負った怪我の治療にかかった費用

2. 通院費

通院、転院、入退院にかかる交通費

3. 入院雑費

入院日数に1,100円をかけて算出した金額

4. 義肢等の費用

義肢や義眼、眼鏡、補聴器、松葉杖などの費用 (眼鏡の費用は50,000円が限度)

5. 診断書等の費用

診断書や診療報酬明細書などの発行手数料

6. 文書料

交通事故証明書や印鑑証明書、住民票などの発行手数料

7. 休業損害

事故の傷害で発生した収入の減少(有給休暇の使用、家事従事者を含む)の補償として1日5,700円が支払われます。ただし、立証資料等により1日5,700円を超えることが明らかな場合は、1日19,000円を限度として実額が支払われます。

8. 慰謝料

交通事故によって被った精神的な苦痛に対する補償として1日4,200円が支払われます。

慰謝料支払いの対象日数
  • 全治療期間(入院期間+通院期間)の日数
  • 実通院日数(治療期間中に通院した日数)×2の日数

AとBを比較して少ない方が対象日数として適用されます。

後遺障害

後遺障害の賠償

後遺障害分として、等級に応じて
第1級:最高3,000万円~第14級:最高75万円が
傷害分とは別途支払われます。

後遺障害とは、自動車事故により受傷した傷害が治ったときに、身体に残された精神的又は肉体的な毀損状態のことで、傷害と後遺障害との間に相当因果関係が認められ、かつ、その存在が医学的に認められる症状をいい、具体的には自動車損害賠償保障法施行令別表第一又は第二に該当するものが対象となります。

労災とは?

労災保険は、会社などに勤めている人が通勤中や勤務中に怪我をした際に使える保険です。そのため、通勤途中や仕事中の交通事故は、労災保険を使える場合が多いです。
一般的に交通事故で怪我をした場合は自賠責保険を使いますが、以下の条件に当てはまる場合は、自賠責保険ではなく、労災保険を使った方が良いかもしれません。

  • 自分が加害者の場合
  • 自分の過失割合が大きい場合
  • 過失割合で相手と揉めている場合
  • 相手の車の所有者が運行供用者責任を認めない場合
  • 相手が無保険 or 自賠責保険のみの加入の場合

弁護士費用特約とは?

弁護士費用特約は、弁護士、司法書士、行政書士への報酬や訴訟(仲裁・和解)に要する費用300万円を限度に支払うというものです。

この弁護士費用特約を利用したことにより等級が下がり、翌年の保険料が上がることはありません。(フリート契約の場合は上がることがあります。)しかも、弁護士費用特約は年間数千円の負担で付帯することができるため、任意保険の契約者にとってメリットがある特約だといえます。

また、弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼するメリットも大きなものになります。面倒な手続きや、やり取りは一切不要になるためで、精神的にも楽になり、妥当な賠償金を支払ってもらえる可能性も高まります。

交通事故にあった際は、加入している保険会社に弁護士費用特約が付いているかを確認して下さい。弁護士費用特約の利用に慣れている事務所であれば、保険会社との連絡や送金手続き等はほぼ全て代行してくます。

弁護士費用特約を使う際の注意点

弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼する際には次の3つのことに注意しましょう。

  • 弁護士費用特約の利用を積極的に受け入れている弁護士事務所に依頼する。
  • 費用の一部が「ご依頼者本人負担」としない弁護士事務所に依頼する。
  • 保険会社の推奨だけで依頼する弁護士事務所を決定しない。

※労災の場合、使用できないこともあります。